Arduinoで温度を測ってクラウドへアップロードする実験をしてみてみました。5月のはじめに連休がとれたのですが、そこでフィジカルコンピューティングに挑戦しはじめてみたかったのです。
Arduinoは、ちょうど一年前の2010年5月にMake: Tokyo Meeting 05で買ったArduino Duemilanove 328です。会場に出展していたスイッチサイエンスさんのブースで買った「Arduinoをはじめようキット」に入っていたものです。いまならArduino Unoが入っているんですね。
MTM05では武蔵美のテクノ園芸ワークショップ(「道子の成長」多摩美ハッカースペース)に参加させていただき、植物に触るとブザーが鳴るArduinoを使った実験も楽しみました。MTM05の会場で買い込んだ本の一冊はPrototyping Lab ―「作りながら考える」ためのArduino実践レシピでした。体育館を埋め尽くしたクールなMakerたちの作品にかなりの感銘を受けて、すぐにでもいろいろ始めてみたいと思っていました。
ところがところが。これがなかなか。
フィジカルコンピューティングへの遠すぎる道のり
もちろん「Lチカ」はすぐに試しましたよ。これはArduinoのボードだけでもできますから。(たいてい最初に試す最初のサンプルプログラムで、ボードについてるLEDをチカチカさせるやつを「Lチカ」と呼ぶみたいです。)
でも、現実世界とI/Oするいろいろな実験を試しながら読み進めるためには、やっぱり部品や工具がどうしても必要。ここがビットの世界だけで終わらずにアトムの世界も組み合わせる醍醐味、そしてめんどくささ。ソフトウェアだけでバーチャルに楽しむのとはちょっとワケが違う、リアルの世界でフィジカルに、カラダも動かし汗かかないとダメなんですね?
そんなカンジでもたもたしていると一年間はあっという間に過ぎてしまいました。
そうだキットがあるじゃないか
流れが変わってきたのはわりと最近です。先日は楽しい電子楽器ヨネミンの効果でハンダづけの道具への憧れもかき立てていただきました。
それにですね、「キット」があることを知ったのです。「Prototyping Lab ―「作りながら考える」ためのArduino実践レシピ」に載っている実験用の部品をあらかじめ集めてくれているキット。通販サイトで難しい型番に首をひねることも、秋葉原を何度も何度もさまよい歩くことも、とりあえずはしなくても済みそうです。これはすばらしい。これならソフトウェア屋にも始められそうですね。
よし、フィジカルコンピューティングに挑戦開始です。
Prototyping Lab Kit Vol. 1
「第II部クックブック」「5章: 入力」のレシピ1〜4で扱われているセンサーのキットです。
Prototyping Lab Kit Vol. 2
「第II部クックブック」「5章: 入力」のレシピ5〜9で扱われているセンサーのキットです。温度センサーも入っています。
実際にはこのキットの他に、少なくとも、Arduino本体とそれからArduino接続用USBケーブルが必要です。
LCDシールドをハンダづけ
さらに書籍の記載通りに実験するには、Arduino単体の作例で頻繁に使われているLCDシールドも必要です。が、なんとこれもキットがありました。
ただ、このキットを作るにはちょっとハンダづけが必要です。とはいえ、ものすごく詳しい作り方の説明がありますので、道具さえあれば誰にでも作れます。
実際、私にもできました。実はわたくしここで欲しがってた道具たちを結局みんな買っちゃいましたので、ハンダづけの道具だけはばっちりなのです。物欲物欲。
そんなわけで高級ハンダごての成果はこれです。(実は失敗しそうになって泣きながら作りましたが、まあ最終的に動けばそれもいい思い出です。)
さあアトムとビットをつないでみよう
真のユビキタスコンピューティングがライフワークですから、なんといっても醍醐味はスマートなガジェット群とクラウドコンピューティングの連携です。
Arduinoで遊ぼう – OAuthを使って安全につぶやくライブラリ「Stewitter」を見ながら試したところ、イーサーネットシールドを使って、測った温度をArduino単体でTwitterへつぶやくこともできました。
この一年間、書籍Prototyping Labをぱらぱらめくっていて、一番実践してみたかったレシピのひとつは「第II部クックブック」「8章: 高度なレシピ」のレシピ33「環境データをネットワーク上に公開したい」でした。これはPachube(パッチベイ)というWebサービスを使います。
Pachubeでは、さまざまな環境情報(温度、湿度、気圧、明るさなど)を公開したり、公開されている情報を元にコンピュータの画面上やアクチュエータ(光や動きなど)で表現することができます。
もしガイガーカウンタがあればきっと興味をひくデータが取れるでしょうが、私は持っていません。そこで、Prototyping Lab Kit Vol. 2についてきた温度センサー(LM35DZ)で温度を測ることにしました。
レシピを読みながらちょこちょこ手直ししてたら簡単にできました。10分ごとに温度を測り、それをPachubeへアップロードします。サーバと接続できていないときには赤いLEDが点灯します。ACアダプターとEthernetケーブルだけつながっている一応完結したガジェットです。
これを3週間ほどずっと放っておいて、ある程度データがたまったのでPachube側の表示も少し楽しくなりました。
今回は使いませんでしたが、ArduinoからPachubeのサーバと通信する新しいライブラリの開発プロジェクトも始まっているみたいですね。
pachubelibrary – Library to communicate with pachube server
そして挑戦はつづく
有名な部品屋さんの通販サイトでいろいろ注文してみたり、秋葉原へ行って実店舗をさまよってみたり、あとPICやIOIOを手に入れたり、mbedをいじらせてもらったり、いまのところ楽しく挑戦はつづいています。
アップデート
ガイガーカウンタをmbedでPachubeにつなぐキットを組み立ててみましたよ。こちらでは放射線量をPachubeにアップロードしています。
2件のコメント
puw2 · 2011-07-07 1:40 am
大変興味を持って拝見しました。
これからも参考にさせて下さい。
Andoroid IOIOを初めてみます。
自己紹介です。
http://www.geocities.jp/puw2/index.html
ガイガーカウンタとmbedとクラウドサービスPachube | CSM Net · 2011-11-07 2:23 am
[…] ちょっと前に、Arduinoで測った温度をクラウドサービスPachubeへアップロードする実験をしてみましたが、今回はその温度計がガイガーカウンタに、Arduinoがmbedに、それぞれ置き換わったよ […]
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